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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
はじめ二十余人もいたが、二月ののちには、数人より残らなかった。波にさらわれて姿を消した者、食料が尽きて餓死した者、運命を呪って、みずから海に投じて死んだ者……。生残った者といえども、今では、死人も同様だ。
生残った数人のうちでは、僕は一番元気だった。若いせいもあるが、日本人の頑張りから、歯を喰いしばって今日まで生きて来たのだ。
僕のほかに、数人の技術員が、まだ生残っているが、もう明日にも、方船から辷り落ちて、海底へ沈んでゆくかも知れない。それほど、力弱っている。一番元気なのは僕だが、一番弱っているのは、老博士だ。博士は、漂流中に真先にまいってしまったが、僕は、身命を賭して、老博士の身を護っているので、きょうまで生きて来たのである。
「山路君……わしはもう駄目じゃ。極度の疲労で、はやく死にたい」老博士は、こう哀しく叫んだ。
「いけません。元気を出しなさい。僕がついていますよ」
「いや、わしのような老体を、かばっていては、君も死んでしまう。わしにかまわずに、君はあくまでも生きてくれ」
「いや、博士が死ねば、僕も死にます。人造島で約束したじゃありませんか。死ぬときは、一緒に……と」