轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页
と背後に大きな声がした。雁金検事と大江山捜査課長とが入ってきたのだ。
噴泉を停め、ジュリアを抱き起すと、彼女は失心からやっと気がついた。
「どうしたのです。そして千鳥さんは……」
「ああ、千いちゃんは、……」とジュリアは白い腕を頭の方にあげて何か考えているようだったが、
「――誰かが攫って……」といって入口の方を指したと思うと、ガックリと頭を垂れた。ジュリアはまた失心してしまったのだった。
「ナニ、千鳥さんは攫われたというのか」
課長はジュリアを検事に預けて、自分は浴室を飛びだした。見ると正面の窓硝子が上に開いて、しかも硝子が壊れている。さっきの酷い音はこれだったのだ。怪人物は千鳥を奪って、此処から逃げたのに違いない。
彼はヒラリと窓を飛び越して、外へ出た。
そしてあたりを見廻わしたが、クラブの囲いの外は、茫々たる草原が見えるばかりで、怪人物の姿は何処にも見えなかった。ただ遥か向うを、濛々たる砂塵が移動してゆくのが目に入った。
「ああ、あれだッ。自動車で逃げたナ」
彼は玄関に廻ってみると、そこで連れて来た運転手とバッタリ出会った。
「課長さん。自動車を盗まれてしまいました」