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よろこばしきちしき
悦しき知識
深瀬 基寛
――停年講義(昭和三十三年九月十六日)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,972 字 · 33 页
それから十九世紀にアプトン卿という有名な政治学者がおりますが、この人の言葉にも非常に面白いのがあるんですが、――曰く、我々の研究というものは、殆ど無目的というに近いものでなければならぬ。我々がものを何でも研究しようという時には、すぐ結果を予想したり、実益をあげようというふうなことを考えないで、我々の研究は殆ど目的のないというに近いものでなくてはならない。研究は、数学と同じく、純粋の精神をもって追究されなければならないというんです。
大体こういうふうなですね、いろいろの例をあげてきましたけれども、そういうふうな科学者と詩人の立場というものが、非常に接近したところへ来ている訳であります。それでですね、まァその事のついでに、それではこういう、大体人生の一番――文学というよりもむしろ大事な宗教の問題がある訳であります。それは、この宗教というものと、――こらまァここの大学の諸先生の方がはるかに適切な解答を与えて下さると思うのでありますが――まァ素人なりの私の考えをちょっと申し上げて御参考にしておきたいと思うのでありますが、先程申しましたスペンダーの、私の訳しました本のおしまいはですね、結局、こういう問題、あの本の根本テーマはこういうことなんです。