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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
(4)
「そうね。それならそれでいいけれど」
E子はそう言ってやっと納得して、それでもまだ安心がならないのか、小犬をやった近所の子供の家をはっきり聞いて置かなかったのを残念がっている。E子はその子の家へ行って大きく育って大切にかわいがって飼われているのを見なければ安心できないのであろう。
友だちはみなE子の犬気違いを笑っていたが、そのうちにだんだんE子の感化を受け、E子の真似をしておべんとうの残りを犬にわけてやるようになったのである。こうして近所の野良犬たちは、ここの教室が食料の豊富なことを知って来るようになったのである。三匹のチョビたちはいつもE子の座席の近くに陣取って動かず、もう決して小使部屋へ行かなくなった。こうして三匹のチョビは、いつのころからかE子の教室の犬となってわがもの顔にそこに住み、E子が進級して教室が変るとE子といっしょに犬たちも進級するのである。
(4)
先生たちも犬の三匹ぐらい教室の片隅にいることは問題にしないが、それでも素性の知れないのが六七匹にもなるとさすがに邪魔になると見えて小使に命じて処理させると、小使はもとからいるチョビたちはそのままにして、ほかの野良犬を犬取りに渡して犬の数を少くするが、すぐそのあとから別の野良犬が以前と同じぐらいの数だけ集って来るのである。