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せんそうろん
戦争論
「人間喜劇 第一一号」イヴニングスター社、1948(昭和23)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,716 字 · 22 页
筑紫一国、山の狸も、池のミミズに至るまで、ピカドンという一瞬に焼けてなくなるなどゝは、誰一人、夢想することも出来なかった。
空想の限界を超えるに至っては、これはもはや人間のものではなく、まさしく悪魔の兇器である。それのもたらす被害は、当然利益よりも甚大であり、今日まで戦争がもたらした効能も、この悪魔のバクダン以後は、ついに被害を上廻ることは出来ないであろう。
もとより、私の如上の計算は、科学的方法によって為されたものではない。然し、空想の限界を超す悪魔的エネルギーのもたらす被害と利益とその差如何、という如き、天文学的数字を一年間ひいたり、たしたり、したところで、出てくるものではなかろう。
兵器の魔力が空想の限界を超すに至って、ついに戦争も、その限界に達したと見なければならない。
兵器の魔力、こゝに至る。もはや、戦争をやってはならぬ。断々乎として、否、絶対に、もはや、戦争はやるべきではない。
今まで戦争が我々にもたらした利益は、そして、今後も戦争が我々にもたらすと予想しうる利益は、これを戦争以外の方法に委譲する方策を立てねばならない。
戦争が我々にもたらしたものは何か。