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ピッチャーさつじんじけん
投手殺人事件
「講談倶楽部 第二巻第五号」1950(昭和25)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,243 字 · 57 页
そこで、更に、元の服装に着代えて、かねて買っておいたミヤゲの品々を持って、途中で新京極で一パイのんで、旅館へ戻ったのだ。取調べがすみ、容疑をまぬがれてから、三百万円と血だらけの衣類を、例のカラッポのカバンにつめて、東京へ持ち帰って処分するツモリだったのだろうよ」
彼がこう説明を終ったとき、車はウズマサのアジトについた。そこはアパートだった。そしてその主のいない二室から、血だらけの衣類と、三百万円と、兇器が、すでに発見されて、彼らの到着を待っていたのである。居古井警部はニッコリ一笑して、予期した品々を指してみせ、そして二人の肩をたたいた。
「これが、君たちから、ヒントをもらった御礼だよ。ほかの新聞記者がこないうちに、すぐ支局へ走って、東京の本社へ電話したまえ。そして、例の尾行記を大至急、書きあげることさ。じゃア、サヨナラ」
彼はニヤリと笑って二人の耳に口をよせ、
「新聞社の金一封と、私の警察の金一封と、どちらが重いかな。ワッハッハ」
笑いながら、二人を部屋から押しだして、サヨナラ、とささやいた。