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しんどうま

振動魔

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,354 字 · 34 页

青空文庫

「貴女はどうしても、僕の希望に応じて呉れないのですか」

「いやなことですわ、ひどい方」

「こんなに僕が、へいつくばってお願いをするのに、それに応じてはくださらないのですか」

「あたしは、どうあってもいやなんです」

「ほんの僅かな時間でよいのですから、この上に寝て下さい」

「いくらなんでも、貴下の前に、そんなあられもない恰好をするのは、いやですわ」

「お医者さまの前へ行ったのだと思って我慢して下さい」

「お医者さまと、貴下とでは、たいへん違いますわ」

「なんの恥かしいものですか、僕が――」

なにやら、せり合うような気配。

「暴力に訴えなさるのですか(とキリリとした雪子夫人の声音、だが語尾は次第に柔かにかわる)まア男らしくもない」

「でも今を置いては、機会は容易に来ないのですから」

「あたしは、貴下の御希望に添う気持は、一生ありません。貴下も神に仕える身でありながら、まだ生れないにしても、一つの生霊を自ら手を下して暗闇から暗闇にやってしまうなんて、残酷な方! ああ、人殺し……」

「大きい声をしないで下さい。どうしてこれだけ僕が説明をするのに判ってくれないんです。貴女が僕の胤を宿したということが判ったなら、僕は一体どうなると思うのです。