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しんどうま

振動魔

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,354 字 · 34 页

青空文庫

さて、貴方の買収された保険外交員と保険医とは、私と一緒について、この垣の向うに控えて居ります。もし久濶を叙したいお思召しがあるなら、早速御ひき合わせしようと思いますが、如何でしょうか。

その間に私は家宅捜査をさせて頂いて、振動魔の貴方が、計算せられた紙ぎれや、また柿丘氏には不合格になったと思わせた生命保険に、貴方が莫大な保険金を契約して、柿丘氏を殺したあとで巨額の死亡支払金を詐取したその証拠書類やらを発見させて頂きたいんです。なにか、私に仰有ることはありませんか」

その青年探偵帆村荘六と名乗る男は、痛快に僕の正体を発いてしまったのだった。

それから、満二ヶ年の歳月が流れて、公判のあとに公判が追いかけ、遂に先頃、大審院の判決もすんで、ここに一切の訟訴手続きが閉鎖されることになった。それから僕は、この拙い懺悔録を書き綴りはじめたのだったが、不思議なことに、どうやらやっと書き終えた今夜は、僕が味わうことの出来る最後の夜らしい。そのことは前日から感付いていたので、別に臆しもしない。

この思い出ふかい夜が静かに明けはなれると共に、この監房を立ちいでて、高い絞首台にのぼらねばならないのである。