轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りゃくだつせられたるおとこ

掠奪せられたる男

豊島 与志雄

「新潮 第二十九卷第三號」新潮社、1918(大正7)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,398 字 · 48 页

青空文庫

彼の心はそれにつれてざわざわと立ち騒いだ。その波紋のうちから眺めると、彼女の全体は無数の曲線を描いてるただしなやかな肉塊にすぎなかった。その輪廓がふと一つの線に静まりかかると、僅かな彼女の身振りが彼の心に大きい波紋を立てて、全体の姿はまたゆらゆらと大きく捉え難い曲線のうちに揺らめいた。流れに映ずる月影の捉え難いような焦燥と不安と魅惑とを彼は感じた。

「二階に上ってみましょうか。此処よりはもっと痛快だわ。」

秀子は彼の答えも待たないでもうすっくと立上っていた。下より立っているというよりも上から下っているというようなすらりとした無理の無い柔かな線が、山田の眼の前に在った。

山田は梯子段に一歩ふみかけた時、一寸躊躇した。彼はまだ一度もその二階に上ったことが無かったのである。二階の室は彼にとって一種の魔窟のような気がした。其処にはいることはやがて破滅の淵にふみ込むことのように思えた。然しその瞬間に一寸閃めいた理知の輝きは、次の瞬間にはもう険を冒して顧みない盲目な興奮に代ってきた。彼は秀子のすぐ後から二階にかけ上った。

然しそれは何等異った室でもなかった。三畳の控室を有する八畳の座敷で、床の間には書の軸がかかっていて、その下に、首を伸べた青銅の白鳥と孔雀の長い尾を四五本※(「插」