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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

このトラック道中は僅か十分足らずで、道路崩壊のためにまた途切れた。二里たっぷり歩かなければ、次の連絡がない。そう分って、旅客たちは不機嫌になった。

「あれっくらい、二日もありゃ直せちまうじゃないか、馬鹿馬鹿しい。土台、不親切だ。乗せるときにゃ、まるで先のことを教えないで、乗せときやがって」

それはひろ子も同感した。先のことを決してあるとおりみんなに知らせない。おさきまっくらのまま、目前の一寸きざみで釣ってひっぱってゆく。この街道のトラック連絡がそうであるどころか、到るところの役所、軍隊、監獄、すべてが同じやりかたでやられている。日本人は、この日本流のやりかたで、各自の運命のどたんばまでひきずられて来たのであった。ひろ子は、心に憤りを感じた。

支店長は、父子づれの荷車挽きをつらまえ、一ケ十円ずつで荷物を載せさせた。土地のものが徒歩連絡者の荷運びに稼いでいるのであった。

姫路をはなれれば離れるほど、空は本極りの秋晴れとなった。彼等が後にして来た姫路あたりにだけ、特別しまりのない雨袋が天にかかっていたのかと思う快晴になった。一筋の国道はゆるやかな勾配で上り、また下って秋の日に輝やき、歩いてゆく男たちの白シャツをその道の上に目立たせた。