轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

ですね、三年前に家出したまゝ行方不明の娘があるので、どこで見たんですかね、仮埋葬の広告を見たとみえて、早速の照会なんですよ」

三年前! 池田ヶ原! 家出娘! 何と似寄った話ではないか。

石子刑事は胸を轟かした。

「いくつ位の娘なんですか」

「二十二、三です」

「そうですか」

石子は落胆した。

「えーと、やっと見つかりましたよ」

隣の巡査が声をかけた。

「支倉方より出火、半焼と之でしょう」

巡査の指し示す所を見ると、確に石子の求める記録だった。彼はそれを写し取って外へ出た。

世め中はだん/\春らしくなる。物持らしい家の南に向った気の早い梅は、塀越しに一輪二輪綻びかけていた。冷たく顔に当る風さえが、眼に見えない伸びようとする霊気を含んでいるようだった。

力なく/\帰署する石子の頭には、支倉の失踪を中心として起ったいろ/\の奇怪な事件が渦を捲いていた。

魔手

「奥さん、これですっかり手続はすみました」

浅田は落着き払って云った。

「どうもいろ/\有難うございました」

静子は丁寧に頭を下げた。

こゝは支倉の留守宅の離れ座敷である。基督受難の掛額や厚ぼったい金縁の聖書其他の調度がありし日の姿そのまゝに残っている。