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ほうろうさっかのぼうけん
放浪作家の冒険
西尾 正
「探偵春秋 第一巻第三号」春秋社、1936(昭和11)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 页
と、人をばかにしたようなことをいうのだ。こっちとしたらはやく本格的に取調べてもらいたいところだが、なかなか順番がまわってこない。そのままぽかあんとしてまたされたっきり、いったいどうなることかとひやひやしながら小半時もまっているとね、とつぜん、いきおいよくドアがあいて、官服のあからがおをしたえらそうな人がはいってきた。
「やあ、失敬々々、ムッシュウ・じゅあん」
かれは意外にもてれくさそうな、すまないといった顔つきでいうのだ「――人ちがいでしたよ。真犯人がつかまったのだ。とんだ迷惑をおかけした。だが、君もわるいんだぜ。これからはせいぜい、疑われんようにするんだな。さあさあ、かえってもいいですよ、大威張りでね」
――こういうわけで、おれが無事に放免されたというのは、客観的にみて、あたりまえのはなしなんだが、なにしろ狐につままれたようなあんばいで署の廊下をつたってゆくと、こんどはもうすこしなまなましい光景に直面してしまった。というのは、前方におおぜいの人たちがたちどまって、よほどのもてあましものなのだろう、うぉううぉうと虎のようにわめきながらあばれ放題あばれくるっているひとりの男を七八人の巡査がよってたかっておさえつけている、それらの一団をせんとうにうしろからじゅずつなぎで、髪をぺったりわけたジョオジ・ラフトの