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ほうろうさっかのぼうけん

放浪作家の冒険

西尾 正

「探偵春秋 第一巻第三号」春秋社、1936(昭和11)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 页

青空文庫

ような伊達者やアルベエル・プレエジャンばりのよっぱらいやアネスト・タレンスのような暴漢が、つまりあの夜の共犯者なのであろう、この三人がこっちにむかっておしこまれてくる。すれちがいざま、せんとうのあばれ坊主をみた時、そいつが例の角苅りの、くらやみでおれとわたりあった「真犯人」なのだ。やつらがおれとおなじ管轄の署内で再会したのも思わぬ偶然だった。やつらにもとうとう年貢のおさめどきがきたのだ、とおれはなるべくふれないようにすばやくはしりぬけて、匆々に署外へとびだしてしまったが、ガアジン先生の怒号は依然として、うぉううぉうとひびいていたよ。

翌日と翌々日の新聞は、それぞれふたつのちがった結末を報じておれをおどろかせた。というのは、翌日の朝刊は下段にちっぽけな活字で、これらの逮捕された一団が暗黒街にねじろをもつ大規模なある種の、いかがわしい書籍出版の結社であるとつげているのみで、おれはしばしあっけにとられた。

「なんだばかばかしい、殺人じゃなかったのか」

と思わずつぶやき、あの一夜の場景が殺人にしてはいかにも不自然だというふしぶしをまとめてみた。だいいち殺人にしてはあまりに不用意だ。