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せいじしゅみのかんよう
政治趣味の涵養
大隈 重信
「早稻田學報 第貳百參拾參號」早稻田大學校友會、1914(大正3)年7月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,466 字 · 11 页
政治家が起らぬ。芸術家が起らぬ。而してすべての事が段々卑近になって来る。思想界に一度病が起ると、文学でも画でも甚だ卑猥なるものが流行して来る。政治もまた同様で、政治家が段々堕落する。これは政治家も悪いに相違ないが、批評家が悪いのである。この批評家が盛んに起って来て、初めて政治という術を行う人の技倆が現れて来るのである。
さて今日の教育は段々進んでは来た。それに従ってよほど学問は進んだが、しかしながらこの政治団体たる国家、政治の舞台、政治の芝居に於て役者がその術を行うに当って、なんら批評をしない。即ち高い意味に於て批評することをしない。これではとても善い政治の出来よう道理がない。今日、日本の状態はどうもそういう有様ではないかと思う。我輩は果して技倆があるかどうか知らんが、自己自らの自信はある。大いなる自信力をもっている。而して一般の批評眼はどうかというと、甚だ浅薄な卑近なものの外にはない。その証拠には去る一週間の臨時議会に現れたところの種々の質問を見ると、実に驚くべき批評である。これではとても善い政治を望むことは出来ないのである。
かつて昔西班牙を造る時分に、西班牙人は神に祈って、どうか西班牙という国は景色の好い、気候の好い国に拵えてもらいたいと言うと、神が宜しいと言ってその通りにした。