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ぶんげいじひょう
文芸時評
宮本 百合子
「中外商業新報」1937(昭和12)年7月30日~8月1日、3日、4日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,097 字 · 15 页
を確立したことがあった。報道映画の世界的傑作の一つとして、シュミット博士一行の「チェレシュキン号の最後」の新鮮な感動や人間的活動の美しさを記憶している夥しい人々は、ここにも自然に対して知慧ふかく順応しつつその条件を人間生活の豊富化のために積極的にとらえて行く活力の詩を感じたことであったろうと思う。
ところがあの新聞記事を読んで、こんな成功は嘘だ、と云った人の話をきいた。そう云った人はロシア語で飯をくっている男である。所謂ロシア通の一人なのであろうが、こんなのは又例の宣伝だ、と云うので、傍のものがびっくりして、しかしこれはアメリカ側の公式発表ですよと注意したら、いや、それだってとにかく嘘だ、とがんばって肯じなかったというのである。
今日ソ同盟の社会的業績に対する関心の中には、この極端な一つの実例が暗示しているような感情の方向をも包括していると見るのが妥当なのだろう。
ジャーナリズムのこの流行の潮にのって『文芸』八月号に勝野金政なる人物の「モスクワ」という一文がのっている。勝野金政という署名で嘗て妙なパンフレットが書かれた事実は世間周知である。「モスクワ」