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となんせんせい
斗南先生
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,262 字 · 44 页
その四、五人にも、伯父は絶えず何か小言を言続けていた。田舎からわざわざ見舞に来た三造の伯母――伯父の妹――などは、何か気に入らぬことがあるとて、病室へも通されなかった。三造にとって一番たまらないのは、伯父が看護婦を罵ることであった。看護婦には、伯父の低声の早口が聞きとれないのである。それを伯父は、少しも言うことを聞かぬ女だ、といって罵った。或時は、三造に向って看護婦の面前で、「看護婦を殴れ。殴っても構わん」などと、憤怒に堪えかねた眼付で、しわ嗄れた声を絞りながら叫んだ。利かない上体を、心持、枕から浮かすように務めながら目をけわしくして、衰えた体力を無理にふりしぼるように罵っている伯父の姿は全く悲惨であった。そういう時、最初の看護婦は、――その女は二日ほどいたが堪えられずに帰ってしまった――後を向いて泣出し、二度目の看護婦は不貞腐れて外っ方を向いていた。三造は、どうにもやり切れぬ傷ましい気持になりながら、何とも手の下しようが無かった。
病人の苦痛は極めて激しいもののようであった。食物という食物は、まるで咽喉に通らないのである。「天ぷらが喰べたい」と伯父が言出した。