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しんまんようものがたり
新万葉物語
伊藤 左千夫
「文章世界 第四卷第二號」1909(明治42)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,832 字 · 10 页
お小夜は三郎のことが少しも胸を離れないけれど、考えはどうしてもまとまらない。無理にも米を搗いてしまおうと思っても杵数は上らない。
「これではいつまで搗いたって搗けやしない」と自分でそう思ってむしゃくしゃする。
「駄賃取りの娘、大学校を卒業した人、三郎さんは大家の可愛がり子息、自分は小作人の娘」お小夜はただ簡単にそんな事を口の内で繰り返す。そうして埒もなく悲しくなって涙が出る。
お小夜は米も搗けそうもないので、止めて寝ようかとも思うが、またこうして一人で米を搗いてれば、三郎が来やしないかとも思われて止めたくもないのだ。お小夜はついに今夜も三郎がきっと来るように思われて来て、少し元気づいて米を搗きだした。
* * *
万葉集十四東歌
伊禰都気波 可加流安我手乎 許余比毛加
等能乃和久胡我 等里奈気可武