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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
03 第三分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页
いかに脅しても賺しても肯かないのである。――すると身寄りのうちで、いっそ蜂須賀村の彦右衛門様にお願いしてはとすすめる者があった。
この頃はとんと依頼も来ないが、以前は蜂須賀家へはよく仕事にも行ったことがある。新左衛門は、市松をつれて、訪ねて行った。ところが主の彦右衛門も、一族の多くも、あらかた洲股の方へ移っているというので、思いきって、洲股城まで頼って行った。
藤吉郎の実父弥右衛門と彼とは、親戚の縁故もあったからである。彦右衛門はまた、主君に告げて、この父子をひきあわせた。
藤吉郎は、ひきうけて、
「台所へおいて、飯喰わせておけ。走り使いなどさせて見て、心利いたる見所があれば、茂助の手にかけ、小姓役を見習わすがよい」
と、親を帰した。
やがて、桶屋の子は、先祖の旧姓を名乗って、福島市松とよばれていた。
市松と虎之助を並べておいて、藤吉郎はふたりへいった。
「仲よくいたせよ」
「はい」
「於市は、年上であるぞ」
「はい」
「新参の於虎を、よく面倒みてやらねばいかぬ」
「はい」
「では、退れ――」
と、いってまた、堀尾茂助へ、
「何分まだ稚いが、そちの組へ預けておく。