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じつげつボール

日月ボール

小川 未明

「国民新聞」1930(昭和5)年5月4日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,923 字 · 6 页

青空文庫

「それはわからん、秋がいいかな。」

こんなことをいって、子供たちを喜ばせたりしました。

そのころ、学校の子供たちの間に、日月ボールがはやりました。こんな遊びは、たとえば独楽にせよ、ピストルにせよ、はやったかと思うと、すたれ、すたれたかと思うと、はやり出すというふうでありました。

ある日、孝ちゃんは、学校から帰ると、日月ボールを持って外へ出ました。そして、自動車屋の前へきました。ちょうど、清さんはいました。

「うまく、やれるかな。」

孝ちゃんを見て、こういって、清さんは笑いました。

「ほかのはできるけど、突っ剣はなかなかできないよ。」

「なにかな、つっけんて、棒に球を通すのかな。」

「そう、やってみようか……。」

孝ちゃんは、熱心に、糸の先についている木の球を飛ばして、棒のとがった先に刺そうとしました。

「穴へいれるのは、やれるかな。」

「うん、それなら、ぞうさないさ。」

孝ちゃんはうまくやってみせました。すると、清さんは、孝ちゃんに、これについて、つぎのようなおもしろい話をして聞かせました。

清さんが、まだ若いときのこと、あちらの山を越したことがありました。