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にっき

日記

宮本 百合子

19 一九三三年(昭和八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,029 字 · 5 页

青空文庫

「可哀そうに水で洗ってるのか。――おっかさんはそういうことはどうもしわくて困る。そとへゆく、遊ぶ金がいる、何かなくなる、二十円か三十円でフロ桶なんかあるんだからつくってやらなくちゃいけない」

○何故息子は家から去るか。

部屋がない。

二日留守してかえって来て見るとテーブルはわきへよせ、その上に本をつみ上げすっかり片してしまってある。

息子いやな心持。口に云えず。親は親のことばかり考えて生活していると感じる。

○自分はもう何年か日記をつけなかった。日記をつけることは不便と思ったのだが又つけたい。

小市民的生活の些事。

それに対するケン悪。それを克服したつもりのN、せいぞうのインテリゲンツィア的屈伏。やはり屈伏である。小市民生活の驚くべき無内容。そのために、ことごとに過程を問題としてさわぐ。

離れに来ると、温室の前にシャツだけの俊造がいて犬が黒と茶、あべこべにくっつき合って舌を出して立っている。俊造はその前にしゃがんで見ていたところをスと立った。それが体の動かし工合でよくわかった。

(八月頃犬は恋愛するのか。)

陽気な若者はいろんなことを話して、人生の迷路に立っているものを益※(二の字点、1-2-22)困惑に陥いれて去った。