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にっき
日記
宮本 百合子
30 一九四七年(昭和二十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,669 字 · 24 页
八月二十五日
椅子をずらしたら一本の脚がぐすりと砂にはまりこんでmころがりそうになった。
「あ、あぶない!」
椅子をなおし
「穴んなってるんだよ」
篠竹のきれっぱしでずっとさしてみる。
「ほらこんなに深い。もぐらの穴かなんかだね。こっちも」
反対に通して見て
「ずっと通ってる、ここ通ってるんだね」
はすに砂の上に線をかくようにする。
「もぐらが来ないように」
そう云ってその穴におちていた三角のスレートの破片をさしこんで、はじめわたしがその穴へおとした松ぼっくりをひろって、スレートのわきへつめた。
○夕方古在さんのところで水瓜を二つきってたべ(風呂に入り)六時十三分のでかえった。俥が来たとき私たち座敷の奥にいて。mがかえったら淋しいより何より眠くて眠くてすぐ床に入ってしまった。
八月二十五日 三軒や すわの座敷
○「パルムの僧院」をよみはじめる。スタンダールはこの長篇を五十二日間でかき上げている。おどろくべき速力だ。でも何故そんなに大いそぎで書いたのだろう?「生気がなくなる」ことをおそれた、と云われているが、こんなスピードで突破しないと、失われる生気というものはどういうものだったのだろう。