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そうしゅん

早春

芥川 竜之介

大学生中村在博物馆爬虫标本室等待约会对象,表面平静却内心烦躁。这场藏在标本室里的密会,为何让他感到义务多于喜悦?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,135 字 · 7 页

青空文庫

三重子は畢竟不良少女である。が、彼の恋愛は全然冷え切っていないのかも知れない。さもなければ彼はとうの昔に博物館の外を歩いていたのであろう。もっとも情熱は失ったにもせよ、欲望は残っているはずである。欲望?――しかし欲望ではない。彼は今になって見ると、確かに三重子を愛している。三重子は枕を蹴上げたりした。けれどもその足は色の白いばかりか、しなやかに指を反らせている。殊にあの時の笑い声は――彼は小首を傾けた三重子の笑い声を思い出した。

二時四十分。

二時四十五分。

三時。

三時五分。

三時十分になった時である。中村は春のオヴァ・コオトの下にしみじみと寒さを感じながら、人気のない爬虫類の標本室を後ろに石の階段を下りて行った。いつもちょうど日の暮のように仄暗い石の階段を。

×          ×          ×

その日も電燈のともり出した時分、中村はあるカフェの隅に彼の友だちと話していた。彼の友だちは堀川という小説家志望の大学生である。彼等は一杯の紅茶を前に自動車の美的価値を論じたり、セザンヌの経済的価値を論じたりした。が、それ等にも疲れた後、中村は金口に火をつけながら、ほとんど他人の身の上のようにきょうの出来事を話し出した。