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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

08 その七 石の下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页

青空文庫

虎之介はこれをきいて呵々大笑。

「何年たっても半可通の頭だねえ。系図の文句を読み落さないように気をつけることだ。当家大明神大女神也とあるのはどうだ」

「それは即ち当家切支丹の開祖大女神ということさ」

「ハッハ。このウチには切支丹らしいものが何一ツないじゃないか。デクノボーめ」

すべてを調べ終って、千代をよびだした。千代は蒼ざめて力のない様子である。新十郎はイスをすすめて、

「あなたがお茶をいれたのはマチガイありませんね」

「ハイ」

「お茶をいれて、それを二階に持って行く時刻はあなたがはかったのですか」

「いいえ。その指図は宇礼さんです。宇礼さんもミコですから、神の霊がのりうつッて、時刻がお分りなのやら、私たちの前にピッタリお坐りで、一々指図なさるのでした」

「ときに、あなたは、碁がお強いそうですねえ」

「イイエ」

「御ケンソンはいけませんね。初段格はおうちになさるということを古い碁客から承りましたよ。あなたは御主人と甚八の四目の碁の終盤をごらんになりましたね」

「終盤だけ見ておりました」

「どんな碁でしたか」

「さア。黒によい碁でしたが、一隅の黒石が死んだので足らなくしたようでしたが」