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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
08 その七 石の下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页
「東太のことが気がかりでございます」
それから新十郎は東太のことを話題にして、その幼少のころのこと、今のこと、いろいろと何十分もきいたアゲク、訊問をうちきったのである。
それから新十郎は千頭家へ赴いて、ギンとソノをよび、千代が茶を入れる時の動作をよく思いだすように命じて、二人にそれを実演させた。
「別に変った様子、変った挙動はなかったのだね」
「変ったことは一向にございませんよ」
「その塩の壺を持ってきてごらん」
女中から壺をうけとると、中をしらべていたが、つまんで舌へのせてみた。彼はすぐ吐きだして、
「たしかに塩だ。この塩の分量が、近頃メッキリへらなかったかね」
「そんなことは気がつきませんね」
「ヤ。ありがとう」
新十郎の調査はそれで終りであった。
「さア、東京へ戻りましょう」
彼は二人の連れに云った。
「いったん東京へ戻って、二三日後に、また出直して参ることに致しましょう。それまではだれが犯人だか、おあずかりと致しましょう」
新十郎は二人の連れの顔を意地わるく見くらべてクスリと笑った。
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その翌日、海舟の前にひかえているのは虎之介。今日は珍しく竹の皮包みを持参した形跡がない。