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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
夜になると盛んに遊弋をやって賑やかでいい。けれどもだ、俺の所には喰うものはないからややもすれば足の先および耳鼻の類が危険だから、俺はかじられないだけの用心はしている。これより先、じつは俺は足の先をすでにかじられかかったんだ。けれどもだ、縁の先には大きな葡萄棚があって、来年新芽を吹きだしたら、俺は王侯の気持になれそうだ。
「何しろ学校で袴と草履をはかないのは俺だけだ。足の裏が丈夫なら草履ははかなくともいいが袴ははかなければいかんといやがる。けれどもだ、袴をはけとは規則書に書いてないから勝手じゃないかと俺はいうた。足の裏はもとより丈夫だが、脛っぷし――というものがあるかないか、腕っぷしがある以上はありそうなものだ――だって丈夫だからな。俺はこれをサンキロティズムに対してサンバカミズム(Sansbakamism)と呼ぶだ。
「矢部さんの講義は何んといっても異色だ。嶄然足角を現わしている。経済学史を講じているんだが『富国論』と『資本論』との比較なんかさせるとなかなか足角が現われる。馬脚が現われなければいいなと他人ながら心配がるくらいだ。図書館の本も札幌なんかのと比べものにならない。