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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
「話が途切れましたが、……僕は今学校の鐘の音に聞きとれていたもんですから……あれを聞くと僕は自分の家のことを思いだします。僕の家は浄土宗の寺です。だから小さい時から釣鐘の音やあの宗旨で使う念仏の鉦の音は聞き慣れていたんです。それは今でも耳についていて忘れません。そのためか鐘の音を聞くと僕は妙に考えさせられます。特別、学校のあの鐘には僕はある忘れられない経験を持っています。……そうですね、その話はやめておきましょう……とにかく僕はあの鐘を聞くと、父と兄とにむりに頼んで、こんな所に修業に出てきたのを思いだすんです。……」
ここまで重いながら言葉を運んでくると、園はまた言わないでもいいことを言い続けているような気尤めがした。園は今日は自分ながらどうかしていると思った。それでこれまでの無駄事の取りかえしをするようにと、
「そんなわけで僕は研究室にさえいればいい人間ですし、そうしていなければいけない人間です。ですから星野君はこの手紙のようなことを言っていますが、僕は辞退したいと思います。どうか悪しからず」
とできるだけ言葉少なに思いきっていってしまった。
伏目になったおぬいさんの前髪のあたりが小刻みに震えるのを見たけれども、そして気の毒さのあまり何か言い足そうとも思ってみたけれども、園の心の中にはある力が働いていて