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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

店、大道演説、三色旗、自由帽、サン・キュロット、ギヨティン、そのギヨティンの形になぞらえて造った玩具や菓子、囚人馬車、護民兵の行進……それが興奮した西山の頭の中で跳ね躍っていた。いっしょに演説した奴らの顔、声、西山自身の手振り、声……それも。

「おい、何とか言いな、柿江」

「貴様の演説が一番よかったよ」

柿江は爪を噛みつづけたまま、上眼と横眼とをいっしょにつかって、ちらっと西山を見上げながら、途轍もなくこんなことをいった。

猿みたいだった。少しそねんでいることが知れる。西山は無頓着であろうとした。

「そんなことを聞いているんじゃない。知らずば教えてつかわそう。サムソンというんだ」

綺麗な疳高い、少し野趣を帯びた笑声が弾けるように響いた。皆んながおたけの方を見た。人見がこごみ加減に何か話しかけていた。異名ガンベ(ガンベッタの略称)の渡瀬がすぐその側にいて、声を出さずに、醜い顔じゅうを笑いにしていた。

「皆んなちょっと聴けちょっと聴け、人見が今西山の真似をしているから……うまいもんだ」

ガンベが両手を高くさし上げて、手の先だけを「お出でお出で」のように振り動かした。