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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

机の片隅には「青年文」「女学雑誌」「文芸倶楽部」などのバック・ナムバアと、ユニオンの第四読本と博文館の当用日記とが積んであるのを清逸は見て知っていた。机の前の壁には、純次自身の下手糞な手跡で「精神一到何事不成陽気発所金石亦透」と半紙に書いて貼ってあった。

純次は博文館の日記を開いて鉛筆で何か書いているらしかったが、もぞもぞと十四五字も書いたと思う間もなく、ぱたんとそれを伏せて、吐きだすごとく、

「かったいぼう」

とほざいて立ちあがった。そして手取り早く巻帯を解くと素裸かになって、ぼりぼりと背中を掻いていたが、今まで着ていた衣物を前から羽織って、ラムプを消すやいなや、ひどい響を立てて床の中にもぐりこんだ。

純次はすぐ鼾になっていた。

清逸の耳にはいつまでも単調な川音が聞こえつづけた。

*    *    *

何んという不愛想な人たちだろうと思って、婆やはまたハンケチを眼のところに持っていった。

上りの急行列車が長く横たわっているプラットフォームには、乗客と見送人が混雑して押し合っていた。

西山さんは機関車に近い三等の入口のところに、いつもとかわらない顔つきをしていつもとかわらない着物を着て立っていた。