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えいがとらいのもんだい
映画と癩の問題
伊丹 万作
「映画評論」1941(昭和16)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,941 字 · 10 页
芸術に携わるもの――の触れてはならない題材ではないだろうか。
もし映画「小島の春」が、癩に対する一部の認識を是正し、その伝染病たることを闡明する意図のもとに作られたのなら、あのような(シナリオによって判断する)まわりくどい表現は不必要だし、またもし癩者の入園を慫慂するためならば、先決問題たる現在の癩院の収容力不足(それは全国の推定患者数の三分の一にも足りなかったと思う。)の事実を素通りしてはまったく意味をなさない。
現在東京の銭湯に通っている癩患者は推定八十人もいるそうだが、政府の役人も、映画製作者も、観客もそのような現実に背を向けて夢のように美しい癩の映画を見て泣いているのである。
いったい癩はどこにあるのだ。決してそれは瀬戸内海の美しい小さい島にあるのではない。それは疑いもなく諸君の隣りにあるのだ。遠い国のできごとを見るようなつもりで映画を見て泣いてなんぞいられるわけのものではないのだ。
我々は個人の運命としての癩をどうすることもできない。ただ、もう偉大なるその暗黒的性格に、圧倒されるばかりである。それは客観的にはいかなる意味でも救いがない。