轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はるになるぜんや
春になる前夜
小川 未明
「東京日日新聞」1922(大正11)年1月7日~10日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,856 字 · 8 页
と、すずめは、小さな頭を傾けて思いました。なぜなら、あたりは、雪が二尺も、三尺も積もっていて、そのほかには、なにも目の中に入らなかったからです。
それからは、長い間、すずめは、このことが不思議でならなかったのです。すずめは毎日、雪の中を山のあちらへ、また、林のこちらへと飛びまわって、だれも通らない、さびしい雪の広野を見渡して鳴いていました。
そのうちに冬も老けて、だんだん春に近づいてまいりました。ある日のこと、西南の空のすそが、雲切れがして、そこから、なつかしいだいだい色の空が、顔を出していました。すずめは、木の枝に止まって、じっとその方を見てぼんやりとしていました。
暖かな南の風が吹いてきました。それからというもの、毎日のように、南の風が吹き募って、雪はぐんぐんと消えていきました。すずめは、もう冬も逝ってしまうのだと、体を円くして、心地いい、暖かな風に羽を吹かれながら、いままで埋もれていた山の林や、また野原の木立が、だんだんと雪のなかに姿を現してくるのを楽しみにしていたのです。
「ああ、じきに花が咲くころともなるだろう。そうすると、他国の方から、名の知らないような美しい鳥が飛んできて、林や森の中で唄をうたうであろう。