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はるはよみがえる

春はよみがえる

小川 未明

「小学六年生 3巻11号」1951(昭和26)年1月新年特別号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,577 字 · 12 页

青空文庫

どちらがまちがっているか、みんなに聞いてもらいたいもんだ。」と、悪口を世間へいいふらしました。

これを聞いて、事情の知らぬ人たちは、金持ちや、家主にありそうなことだと、逃げ出した青服夫婦へ、同情したかもしれません。

このような、おのれを弱者と見せかけて、世間を偽ろうとする、不正直者が、このごろだんだん多くなったのでした。

正吉は、これをにがにがしく思いました。ひっきょう恥を感じなくなった人間は、自分というものがなくなったので、どこまで、堕落するものだろうかと考えました。

こうして町では、人々が、喜んだり、悲しんだり、たがいに争ったりするうちに、いつしか春めいてきました。大空で太陽は、すべてを見たけれど、干渉しようとはしなかったのです。そして永久に、ただ愛と恵みとしか知らない、太陽の光は、いつも、うららかで、明るく、平和で、善と美に満ちていました。

ある日、正吉が画家を訪ねると、もう、すべてのことを知っていて、画家のほうから、

「あの空気銃を持って、鳥を打って歩いた男は、どこかへいったという話だね。」と、顔に明るい表情をただよわしながら、いいました。