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はるはよみがえる

春はよみがえる

小川 未明

「小学六年生 3巻11号」1951(昭和26)年1月新年特別号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,577 字 · 12 页

青空文庫

太陽ばかりは、人類のはじめから、いや、それどころか、地球のできたはじめから、光のとどくかぎり、あらゆるものを見てきました。この町が火を浴びて、焼け野原と化し、緑の林も、風に吹かれた木立も、すべて、あと形もなくなったのを知っていました。

いつしか、そのときから、はや五、六年たったのであります。

「いま一度、起き上がる気があったら、力をためすがいい。」

長い間、自然の栄枯盛衰を見てきた、偉大な母である太陽は、町の焼けて焦土となったその日から、下を見下ろして、こういいました。

そして、風は建物の無惨な傷口をなで、雨は土の深手を静かに洗ったのです。そのうち、ところどころ新しい家が建ちはじめ、人々の手によって、植えられた木立は、ふたたび林となりました。小さな庭にさえ、すくすくとして、木が風にその小枝を吹かせたのです。

やがて、冬が去り、春になろうとして、気流は争いました。乱れる雲の間から、太陽は下界をのぞいて、たゆみなき人間の努力をながめながら、

「おお、いい町ができた。」と、ほほえみました。

すると、若木をゆする風が、

「昔も、あちらに、煙突があって、いつも黒い煙が上がっていた。