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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页
久しぶりの報時
「なあんだ、あれは、時計が鳴りだしたんだ」
「えッ、時計か、ほんとか」
「時計だよ、時計はさっきから動いていた、だからちょうどいいところへ来れば、音をたてて鳴りひびくはずだ」
「三つうったね、三時だ」
「そうだ、三時だ、ほんとうの時間は、今何時ごろだろうか」
「やっぱり三時ごろじゃないかな」
「気味のわるい音だね、この時計台の時計のひびきは……」
そういっているとき、つづいて思いがけないことが起った。
それは、さっき見つけた空気穴らしい小窓のふたが、ひとりでに、ぱっとあいた。そしてそこから、さっとあかるい光線がさして来た。
「あ、あの窓があいたよ」
「だれが、あけたんだろうか」
「みんな警戒するんだ、きっと、このあと、なにか起るぞ」
五井が叫んだ。
「ほら、もうなにか起っているよ、そこの壁が動いている」
四本の声だ。
「え、壁が動いているって」
「そうだ、窓の左手の壁だ、壁全体が上へあがって行く」
「あ、そうだ。みんな、うしろへ下れ、危険だぞ」
五井は、みんなを壁と反対のうしろへ下げた。その間にも壁は音もなく上にあがってゆく、そのむこうに何があるのか、あいにく、その奥はまっくらで、何の形もみとめることができなかった。