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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页
「あッ、水が出てきた」
八木君は目をさました。
気がついてみると、あたりは水だらけになっている。お尻も足も、水づかりだ。
なぜ急に、こんなに水が出てきたのか。
八木君は、立ち上った。そして足もとに注意し、耳をすました。水は、だんだんふえて来る様子だ。すこしはなれたところで、どうどうと音がしている。それから水がわいて来るものらしい。
「このままでは、溺れてしまう、なんとかして、水の出るのをとめることはできないかしらん」
八木君は、この期におよんでも、あわてることなく、冷静を保っていた。
ざぶざぶと水をわたって、八木君は、水のわいてくると思われるところへいってみた。
あいにく、まっくらで分らない。
彼が持っていた懐中電灯は、いつの間にか水づかりとなって、ボタンをおしてもあかりがつかなかった。
そのくらやみの中で、八木君は足でさぐりながら、出水口の様子をしらべた。
「うむ、すごいいきおいで、水が下からわいてくる。これはきっと、上にタンクがあって、タンクの水がながれこんでくるんだな」
あとで分ったことであるが、これはタンクにたまった水と同じような種類であるが、じつはそれとはくらべものにならないほど多量の水をたくわえているところから、こっちへ流れこんで来たのである。