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じげんばくだんきたん
時限爆弾奇譚
海野 十三
――金博士シリーズ・8――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
「おい、秘書よ。劉洋行へ電話をかけてみい。あそこなら、すこしは在庫品があるかもしれん」
「先生、外部への電話は、一切かけてはならないという先生の御命令でしたが、今日はかけてもいいのですか」
かねがね電話使用を禁じたのは、例の時限爆弾のことで、博士に面会しようという輩に乗ぜられるのを恐れてのことであった。しかしながら、こうして燻製を想い出した今となっては、もはやそんなことをいっていられない。幸いにも、人の噂も七十五日という、そこまでは経っていないが、あれからもう三週間もすぎていることゆえ、多分もう大丈夫だろうという予想もあって、博士は遂に電話を外へかけさせたのである。
劉洋行の店の者が、電話口に出て来た。
「はいはい、毎度ありがとうござい。こちは劉洋行でございます」
「おお、劉洋行かね。おれは金博士じゃが、なんとかして燻製ものを頒けてくれ。お金に糸目はつけんからのう」
「え、燻製ものでございますか。お生憎さまでございます。ちょっとこのところ、鮭も鱈も何もかも切らしておりまする」
「しかし、冷蔵庫の中とか、後とかを探してみたまえ。棚のものを全部下ろしてみたまえ。