轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

しかし服装は最前と丸で違って、黒い口覆いも何も掛けていず青い中折帽から新しい背広服に至るまで、最前とはまるっきり様子が変っているので、もしかしたら私の思い違いかも知れない。第一あの運転手ならば、私が警視庁の人間である事を気付くと同時に、多少に拘わらず吃驚した表情をあらわす筈である……なぞと考えながらつい鼻の先に山口勇作と貼り出して在る運転手の名刺を見ているうちに自動車は最早、半蔵門の曲り角に立っている人混を電光のようにすり抜けて、麹町の通りを一直線に、土手三番町へ曲り込んだと思うと、二葉女学校の裏手にある教会らしい小さな西洋館の前でピタリと止まった。止まると同時に志免警部は、私に一挺のブローニングを渡しながら真先に飛び降りて、空色のペンキで塗った門の扉を両手で押したが門は締りがしてなかったと見えてギイと左右に開いた。そこから真先に躍り込んだ志免警部に続いて三人の刑事が走り込んだ。

続いて私が降りようとすると、運転手は初めて気が付いたらしく、ギョロリと光る眼で私を見たが一寸躊躇しながら、丁寧に帽子を脱いで訊ねた。

「旦那……待っておりますでしょうか」