轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
そこで一冊の聖書を見付けて、その聖書によって志村氏と、その妻のぶ子がJ・I・Cに関係している事実を発見したことを……。
……ところでその時に私が坐っていた卓子は、確かに最前坐っていたのと同じ卓子の同じ椅子で、しかも、その卓子が又その前夜、志村夫婦が差し向いに坐っていたその卓子ではなかったか。……のみならずその卓子に腰をかけていた志村浩太郎氏が、その妻ののぶ子から紫のハンカチを受け取る直前に、その卓子の上に並べていた四皿の料理は、今夜疑問の女から紫のハンカチを受け取る前に並べていた四皿の料理と、そっくりそのままの……黒麺麭と、スープと、ハムエッグスとウイスキー入りの珈琲ではなかったか。
……今の世に奇蹟はない。
……偶然としては余りに偶然過ぎる。
しかもこの奇蹟的な偶然を、私の第六感の作用として判断すると、一切の疑問の闇を貫く一道の光明が、サーチライトのようにありありと現われて来るではないか。
あの時に発見した聖書は、今も警視庁の参考品室の片隅にある、暗号の部と書いた硝子戸棚の中に投り込まれたままになっている。たしか二〇一番の札を貼られたまま塵埃に包まれている筈である。