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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

新聞記者を連れて行けば、こっちの公明正大さが大抵わかる筈と思ったんですが……何もかも案外ずくめでおしまいになっちまいましたよ。はっはっはっ」

「おかげ様で本望を遂げまして……」

と志村のぶ子が相槌を打った。

「……いやア……貴女方の剛気なのにも驚きましたよ」

と志免警視はどこまでも明るい声で調子に乗った。一事件が済んだ後で私の前に来ると志免はいつもこうであった。

「……ゴンクールはきっと僕が生捕にして見せるからと云って嬢次君が藤波弁護士にことづけたんですけど、何だか不安でしようがなかったんです。……その上に樫尾君が事件の号外は新聞社に出させてもいい。現在の日本の新聞では号外に着手してから刷り出す迄の時間が最少限一時間程度で、横浜はそれから又三十分位遅れて出るのだから、その加減を見て横浜のグランドホテルに居るゴンクールに電話をかければ彼は東京と横浜の号外をドチラも見ないまま狭山さんの処へ来る事になる。一方に狭山さんは号外を見ておられるにきまっているからとても面白い取組になる。又、万一、途中でゴンクールが気が付いて逃げ出したにしても、大抵胆を潰している筈だから二度と手を出す気にはなるまい。