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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

、眼の球のクリクリした、イガ栗頭の茶目らしいボーイと向い合っている。何か訊問をしているらしい態度であったが、私を見るとちょっと眼顔で挨拶をしてから又、二人でボーイの顔を凝視した。

私はこのボーイが岩形氏の変死を最初に発見したボーイに違いないと思った。同時にそのボーイが頭をがっくりと下げたまま、口を確かりと噤んでいる横顔が、何かしら一言も云うまいと決心しているのに気付いた。それを志免と飯村の二人が無理やりに問い詰めて、いよいよこじらしているらしい様子を見て取ったので、これはこの際一大事と思ってつかつかと室の中央のテーブルをまわって行った。すると、それと殆んど同時に、隣の寝室で岩形氏の屍体を取り巻いていた熱海検事以下十余名の同勢がどかどかと寝室から出て来て私の背後を取り巻いたので、只さえぶるぶると顫えながら立っていたボーイはいよいよ顫え上ってしまったらしく、傍に近寄って行く私の顔を、命でも取られるかのように身構えをして見上げた。眼の球を真白に剥き出して、唇の色まで失くしてしまった。

私はわざと、その顔を見向きもしないまま見知り越の、熱海検事を振り返って中折帽を取った。