轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
「オール讀物」文藝春秋新社、1955(昭和30)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,541 字 · 80 页
それは直ちに事件の際に使用した股野のレーンコートのベルトを連想させた。
あけみが克彦の方へ倒れかかって来た。びっくりして顔を見たが、気を失ったのではない。心の緊張のために、からだの力がぬけてしまったのであろう。克彦はその手先をグッと握って、彼女が平静でいてくれることを神に祈った。そして、彼自身は酔いにまぎらせて、目をつむっていた。見ていれば表情が変るにちがいない。ここで変な表情を見せてはならないのだ。
(ああ、いけない。あけみ、お前はどうして、そんなに目を見ひらいているのだ。心の中を見すかされてしまうじゃないか。いい子だから、こちらをお向き)
彼は花田にさとられぬように、肩を動かして、ソッとあけみの顔を自分の方に向けさせた。
「サテ、みなさま、これなるベルトで、やつがれの手首を括らせてごらんにいれまあす。……さア、きよちゃん、構わないから、ここを思いきり縛っておくれ。そうそう、三つばかり巻きつけるんだ。そして、はじとはじとを、こまむすびにするんだ」
きよはクスクス笑いながら花田が揃えて前に突き出している手首を、ベルトでしばった。
「ごらんの通り、これなる美人が、やつがれの両手を力まかせにしばってくれました。