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げっせかいきょうそうたんけん
月世界競争探検
押川 春浪
「探檢世界秋季臨時増刊 第四卷第三號 月世界」成功雜誌社、1907(明治40)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,365 字 · 17 页
「いよいよこれだけの確かな手懸りがあれば、もう再び叔父さんのお目に懸るのも遠くはあるまい。さあ今一奮発だ。」
と、自ら先に立って歩き出したので、東助もようよう涙を止めて続いて行った。
洞穴内の怪音
かれこれ三、四里も進んだ頃、もう四辺は次第に暗くなって来た。
「もう夜になっては探せないから、今日はどこかに野宿して、明朝早く探すことにしようじゃないか。」
と、適当な場所をと見廻したが、ここらは一面の禿山と原で更に露を凌ぐに足るほどな処もない。
と、突然東助が、
「若旦那様、先方に洞穴があります。」
と叫んだので、
「どれ。」
と指先す方を見ると十町ばかり向うの山の麓に一個の洞穴がある。
「あの中に一泊しよう。」
とそこをさして行って見ると、思ったよりは広い洞で奥の方も余程深いらしい。
荷物を卸して、座りながら、革鞄の中からビスケットを取り出して食っていると、
不思議※ 不思議※
洞穴の奥で何やら唸くような声がする※ 二人は驚いて、互に顔を見合せていたが、東助は声を潜めて、
「あの声は何でしょう。」
「さあ。」
と、始めは空耳ではないかと、耳を澄ますと、その唸り声は尚聞える。