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げっせかいきょうそうたんけん
月世界競争探検
押川 春浪
「探檢世界秋季臨時増刊 第四卷第三號 月世界」成功雜誌社、1907(明治40)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,365 字 · 17 页
静かな、湿っぽい、洞穴に、弱々しい、切なげなその声が幽かに聞えて、二人は思わず戦慄した。
文彦は矢庭にライフル銃を取り上げて、装填しつつ立ち上り、東助をさし招いた。
東助も同じく玉籠めして主人の後に続いた。二人はさながら猫の鼠を覗うように、息を凝らし、足音を忍ばせてその音のする方に這い寄った。
二、三間も行くと道は右に折れている。
唸り声は正しくそこから洩れて来るので、余程遠いと思ったのは、その声の余りに幽かに弱々しかったからで。
突き出た大きな岩の手前まで来ると、その声はいよいよ鮮になった。
正しくそれは人の唸り声だ※(感嘆符二つ、1-8-75)
急ぎその岩を巡ると、広い一室の真中に、一箇の蝋燭が今にも消えんばかりに点って、ほの白く四辺を照らしているその下に、何やら黒い物影が二つ横わっている。唸り声はその中の一つから起っているので、その黒い影は時々身体を動かしながら、如何にも苦しげに唸いているのだ。
文彦は何を思ったか、銃をそこに投げすてて、その側に駆けよって、電気ランプを点した。
四辺が一時にパッと明るくなった。仆れているのは二人の洋装の男子である。