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げっせかいばっしょうき
月世界跋渉記
江見 水蔭
「探検世界 秋季臨時増刊 月世界」成功雑誌社、1907(明治40)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,132 字 · 19 页
引力に因り月世界に墜落。探検者の気絶
「どうしよう。」
と思うまもなく、六人の月世界探検者を乗せた空中飛行船翔鷲号は非常な速力で突進して月に落ち、大地震でも揺ったような激しい衝動をうけたと思うと、一行は悉く気絶して終った。
そもそもこの探検隊は目下日本で有名な否世界中に誰知らぬ者もないほどに有名な桂田工学博士と、これもその道にかけては頗る評判の月野理学博士とによって主唱され、それに両博士の助手が二名、及び星岡光雄、空知晴次といういずれも中学四年生の少年とで組織されているので、一行は桂田博士が発明した最新式の空中飛行船に乗じて、この試運転の第一着手として、吾が地球から最も近い月世界の探検を思い立ったのである。しかしこんな冒険な一命を賭するような事業に加わるのは実に乱暴極まった話だが、この二人はいずれも月野理学博士の親戚の少年で博士の家に厄介になって、その監督をうけつつ通学しているのだが、いつの間に聞き出したか、桂田博士と月野博士の計画を知って、是非にお伴をさせてくれるようにと、蒼蠅く頼んで何といっても肯かないので、博士も遂に承諾して一行の中に加えたのだ。