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きそおんたけのはなし

木曾御岳の話

木暮 理太郎

「日本山岳会会報」1933(昭和8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,366 字 · 15 页

青空文庫

を繰返す。あっちでは「高天ヶ原」を繰返す。いずれも真剣だから笑われもしない。そのうちに中座の人が両手で持っている御幣をすうと頭上に上げて強く急に振り動かす、即ち神がのりうつったのです。そこで先達がいろいろ伺いをたてる。たとえば、エー御前様、明日のお天気は如何でしょうという類である。すると中座は御幣を頭の上でパッと振る。其時の御幣の紙のかえり工合を見て先達が判断するのですが気のきいた人は実によく当てる。なかなかおもしろいものです。中には水の浴び方が足りないといって叱られるものもある。内所で何かよくないことをしたものは、大抵ここで泥を吐いてしまう。さもないと頂上まで登れないで必ず途中でへたばるということです。それから皆な自分の家のことを心配して何か変りはないかと伺って見る、大概ないといいます。時とすると誰の家に急変が起ったと云うので非常に騒ぎ立てる組もあるそうで、それがだいぶ当るらしいのです。訊ねて見ると易と同じように御幣の十三枚の紙の裏表の組合いの工合によって判断する規定があるらしく、それをその場合に応じてうまく判断しなければならぬから、先達はなかなかむずかしい役だろうと思いました。