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むらのせいこうしゃ
村の成功者
佐々木 邦
「現代」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,883 字 · 84 页
「いや、伯父さんが呼んだんだよ。それで態※(二の字点、1-2-22)来たんだよ」
と卓造君は態の解釈を異にしていたものゝ、再び水力電気に望を嘱し始めた。百間橋から半里ばかり上流に大滝というところがある。川の水全体が数間の傾斜面を落下する。ナカ/\の壮観だ。単に滝としても立派に物の数に入るのだが、周囲が辺鄙だから一向顧みられない。この両岸一帯の森が田川家の所有地になっている。一度こゝを県庁の技師が調査に来た。以来卓造君の伯父さんは病みついて、水力電気のことばかり言っている。
「伯父さんが自分でやるんでしょう。待っているよりその方が早いです」
と正次郎君が言った。
「身上を潰すのもその方が早いよ」
「しかし見込のないことはしますまい」
「いや、あの伯父さんは度胸が好いからね」
「僕は有望だと思っています。日外学校から発電所を見学に行きましたが、丁度あんな風な滝のところでしたよ。あれよりも小さかったです」
「成功すれば何よりだけれどもなあ」
「兄さんは大学へ行けます」
「俺はもう決心している。自分でやるよ」
と卓造君は答えたが、急に明るい心持になっていた。
角町に着くと、二人は夫れ/″\友達を訊ねる為めに別れた。