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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

それ故に文明が進歩せぬ。人文が発達しない。これはどうしても政治が悪いからである。王者が国を治むる術を得なかったために乱れたのである。その極、ついに露西亜の有とならんとしたのである。

されば今このままで以て支那に還付してみたところが、支那の政府はこれを能く治むることが出来るや否や。もしこれを治むることが出来なければ、その混雑からしてついに外国の圧迫を受け種々大なる災いを惹起す。即ち東洋の平和に害がある。日本は何処までも友誼を以てこれを支那に戻す。支那に戻すはたびたび繰返す通り、寛仁大度なる我が皇帝陛下の支那皇帝陛下に対する恩恵である。しかしそれと同時にこれを支那に還付するに付いて、よほど多く条件が無ければならぬ。独り満州のみならず、全支那もまた同様で、今日の如く秩序が紊れておっては、隣国の災いは直ちに引いて日本に及ぶのである。日本が絶東に於ける平和の保障者となる大責任を持つ以上は、すべての平和維持のために相当の権利を行うということが即ちその責任から起って来るのである。これが冒頭に日本の東亜細亜に於ける地位を論じたゆえんである。

日本は数万の生命を犠牲にし、数十億万金を費やして得たところの土地であるに拘わらず、これを支那に還付するに躊躇しない。