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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

この時に露西亜という一国のみは依然としてその制度を改めない。これは国が僻在しておって守旧に便利なのと、「スラーブ」民族が元来政治思想に乏しきが故であるが、その地勢が守るに易く攻むるに難く、奈波列翁の失敗なぞのために西欧羅巴の国々が勢力を買いかぶったに原因すると思う。しかしながらかくの如き勢力が新勢力に競争して勝つということは進化の理に戻っている。中古の遺物として蒙古的勢力、亜細亜的勢力が欧羅巴に存在している。然るに亜細亜にありながら世界の最も進んだる文明を有する日本がこれに打ち勝つ。即ち欧羅巴に国しておるところの「スラボニック」民族が亜細亜的の働きをして、亜細亜に国しながら新文明の空気を呼吸する日本に打撃されるとは如何にも不思議なる現象であるが、これ蓋し真理である。進化の原理に符合するのである。故にこの戦いは必ず勝つと思う。

しかし勝つということになった暁、我輩の言うところの世界に於ける日本の地位は如何なる変化をなすか。我輩をしてごく露骨に自分の理想、自分の希望を言い現さしめば、世界のすべての問題に日本帝国が発言権を十分に占めたいと、こう思うのである。