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とうあのへいわをろんず

東亜の平和を論ず

大隈 重信

「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页

青空文庫

しかし一時にそういう勢力を得るということは如何であるか、これは疑わしいのである。そこで数歩を譲って、まず日本という国が東亜細亜に対して十分なる権力を持ちたいのである。かく謙遜したならば、諸君の中にはあるいは大隈老いたりということを言うかも知れぬが、私はまずそこまで譲りたいと思う。ご覧なさい、亜米利加合衆国が英国より独立して段々国が勃興するに付いてどういう地位をもつに至るか。かの国が今日世界に対してどういう地位をもっているかということを諸君に考えてもらいたい。諸君の知らるる通り、米国の大統領の「モンロー」がかつて宣言書を出した。これは「モンロードクトリン」というて亜米利加合衆国ではほとんど神聖視している。これは即ち亜米利加合衆国は自分の勢力範囲に欧羅巴の干渉は断じて許さないと同時に、欧羅巴の事件に関係しないということを宣言したのである。亜米利加合衆国でさえ、なお且つかくの如きものである。日本の突然勃興したところの勢力で、世界の発言権を持ち世界のすべての問題に権力を振いたいということはあまり空想である。しかし疑いも無くこのたびの勝利に依り、東亜細亜に於ては日本政府の意に戻って如何なる強国も我儘をやることは出来ないというだけの点には、必ず目的を達するに相違ない。