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とうあのへいわをろんず
東亜の平和を論ず
大隈 重信
「外交時報 第八四号」1904(明治37)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,708 字 · 32 页
その隣国とは如何なる国であるかといえば、ほとんど大患に罹っている気の毒なる国民が吾人の周囲に存在しているのである。これをどうするかというに、少年客気の人は侵略論を唱えるそうである。そういう人達の議論はどうかというと、まず個人の上には道徳はよほど進んだが、国際的道徳は少しも進まない。いわゆる権謀術数、春秋に義戦なし、何でも強い者が勝つ。日本が強くなったから隣国を侵略して引き奪ってしまうという、これは実に驚き入った訳である。抑々国際的道義が成り立たぬということは大なる間違いである。ある場合に権謀術数を弄ぶものがあれば、その一、二の場合を挙げて全体の国際的道義甚だ幼稚なるものと断定するのは大早計である。二十世紀の今日に於ては、もはや「マキャベリー」の権謀術数は許さぬ。
また人の国を侵略すれば必ずその復讐として自分がまた他から侵略されることが起る。古より、武力を以て人の国を侵略したという国の結果は何時も宜いことはない。露西亜が無闇に侵略をする。この侵略に日本が反対をした。隣国を扶植してこれを進歩せしめる、こういう言葉を以て戦いをなすや否や、直ぐにかの侵略を真似て自分が侵略するというは何事ぞ。