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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

「うーむ、失敗も失敗も、大失敗をやってしまった」

帆村探偵は、頭を圧えて懊悩したが、もはやどうにもならなかった。

そうかといって、これほどの大事件を、このまま捨てて置くわけにはゆかなかった。官憲はともかくも、帆村自身はなんとか再び例の秘密工事場に達する路を発見したいものと日夜そればかりを考究した。

それから一週間ばかり後のことであった。

帆村の熱情が神に通じたのか、彼はゆくりなくも重大なる事柄を思い出した。

それは例の工事場で働いていたとき、その中ではないが、どこかその附近でもって、しきりに杙打ち作業をやっているらしい地響を聞いたことであった。

それについて、彼は今まですっかり忘れていた重大なる手懸りを発見したのだ。それはその杙打ちの音が、とんとんとんとんという具合になめらかに行かず、或るところで引懸るようにとんとんとんととんという特徴のある音をたてることであった。歯車の歯の一つが欠けているのか、或はまたロープにくびたところでもあるのか、とにかく不整な響を発するのであった。

「こいつは締めた。もっと早く気がつけばよかったんだが」

帆村は躍りあがって悦んだ。